Sep 16, 2012

拉致被害者救出進展せず=安否不明、家族高齢化―日朝首脳会談17日で10年


拉致被害者救出進展せず=安否不明、家族高齢化―日朝首脳会談17日で10年
時事通信 9月16日(日)

 2002年の日朝首脳会談で北朝鮮が日本人拉致を認めてから17日で10年。日本政府が拉致被害者に認定した17人のうち5人が帰国したが、12人の安否は不明のままだ。今年8月、4年ぶりに日朝政府間協議が開かれたが、拉致問題打開の具体的な進展は見えない。拉致されて35年になる被害者もいる。高齢化する被害者家族は一刻も早い救出を切実に訴えている。

 02年の小泉純一郎首相(当時)と金正日総書記(同)の日朝首脳会談で、北朝鮮は日本人拉致を認め、謝罪。同年10月に被害者5人が24年ぶりに帰国した。

 北朝鮮は安否不明12人のうち、1977年に新潟市で拉致された横田めぐみさん=拉致当時(13)=や78年に鹿児島県で拉致された市川修一さん=同(23)=と増元るみ子さん=同(24)=、80年に欧州で拉致された石岡亨さん=同(22)=と松木薫さん=同(26)=ら8人は「死亡した」と主張。鳥取、兵庫各県で拉致された松本京子さん=同(29)=、田中実さん=同(28)=ら4人は未入国としている。

 しかし、被害者の死亡を裏付ける客観的証拠はない。政府には生存情報も寄せられている。北朝鮮が提出した横田さんと松木さんの「骨」とされるものは、DNA鑑定で別人の骨と判明。「未入国」の4人も、日本の警察当局の捜査で、北朝鮮が拉致に関与したことが判明している。

 北朝鮮は08年8月の日朝協議で拉致被害者の再調査に同意したが、その後、福田康夫首相(当時)の退陣を理由に先送りを一方的に通告。「拉致問題は解決済み」として、その後は再調査に応じていない。

 今年8月の日朝政府間協議では、今後の交渉議題を話し合った。しかし、北朝鮮は拉致問題を明確に議題と位置付けることに抵抗。日本が「『双方の関心事項』を議題とする」との玉虫色の妥協案を示し、北朝鮮も容認した。

 北朝鮮は日本の政局動向を見極めているとみられ、政府内には「今月中の開催は困難」(日朝交渉筋)との見方もある。
 日本政府は「拉致問題解決なくしては北朝鮮との国交正常化はあり得ない」との立場を取っている。

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